イヤイヤ期の朝――。まだ太陽が昇りきる前の静かな時間帯に訪れる、あの小さな嵐。着替えを拒否する声、泣き声、予想外のこだわり…。こちらが急いでいればいるほど、なぜかうまくいかないのが子育ての不思議なところですよね。
「どうして毎朝こんなに大変なんだろう?」
「私のやり方が間違っているのかな…」
そんなふうに悩むママは、とても多いものです。かつての私もまさにその一人でした。でもある日、気づいたんです。イヤイヤ期の朝がうまくいかないのは、ママの努力不足ではなく“子どもの発達として当然のこと”だということに。
だからこそ、完璧を目指すのではなく “やめること”を決めるほうが、朝は劇的にラクになる。
この記事では、実際に私自身がイヤイヤ期の朝に実践し、効果のあった「やめた習慣」を詳しく紹介していきます。あなたの朝が今日より少しでも軽くなるヒントになれば嬉しいです。
イヤイヤ期の朝がつらいのは“当たり前”という話
イヤイヤ期の朝というのは、どこの家庭でも本当に過酷な時間帯です。特に朝は大人のほうも「今日も一日がんばらなきゃ」という気持ちで動き出すタイミング。そのタイミングで子どもが「着替えたくない!」「ごはんイヤ!」「靴履かない!」と全力で抵抗してくると、心が折れそうになるのは当然のことです。
私自身も、子どもたちがイヤイヤ期ど真ん中だった頃は、毎日が戦いでした。朝のわずか数時間で一日ぶんの体力を持っていかれるような感覚で、在宅で仕事をしている身としては「今日の予定がまったく進まない…」「朝なのにすでに疲れ切っている…」という状況が日常茶飯事でした。
しかし、ある日ふと気づいたんです。「この大変さは私の努力不足ではない」ということに。イヤイヤ期の行動そのものが、発達段階として“当たり前”の反応だったのです。
子どもはまだ自分の気持ちを調整する力が未成熟で、以下のようなことが同時進行で起きています。
- 服の素材や肌ざわりが気になる
- 気分がコロコロ変わりやすい
- 一度イヤになると気持ちの切り替えが難しい
- 「自分でやりたい」気持ちと「でもできない」葛藤が混在している
これらが複雑に絡み合うことで、朝の身支度はスムーズに進まないのが自然な姿なのです。つまり、ママがどれだけ段取りよく動いても、イヤイヤ期の子どもは“思い通りには動けない”のが普通の状態。
そこで私は考え方を大きく変えました。「新しく何かを増やそう」とするより、「やめること」を見直したほうが確実にラクになるということに。
ここからは、実際に私が朝をラクにするために手放した3つの習慣を紹介していきます。
やめたこと①:完璧なスケジュール通りに動く
イヤイヤ期の子どもと一緒に暮らしていると、予定通りに進むことのほうが珍しいです。以前の私は、朝を効率よく回すためにスケジュールを細かく決めていました。
7:00 朝食
7:30 身支度
8:00 出発準備
8:30 家を出る
しかし現実は、
- ごはんを食べたがらない
- 服を選び直したくなる
- トイレに行きたがらない
- おもちゃが気になって動かない
と、ほぼ毎日ハプニングの連続。すると私は焦り、子どもは余計に動かず、お互いにイライラする…という悪循環に陥っていました。
そこで思い切って、“時間に縛られたスケジュール”をやめました。
今は、時間を固定する代わりに「朝の流れだけ」をざっくり決めています。
- 起きたら水分補給
- 朝食を食べる
- 着替える
- 歯磨き
- 出かける準備
この順番だけはブレないようにして、何時にやるかはゆるく設定。そうすることで私の焦りがぐっと減り、声かけも落ち着いたトーンに変わりました。その結果、子どもが自分から動いてくれる場面も増えたのです。
やめたこと②:言葉で急かすこと
朝はとにかく時間との勝負になりがちで、つい「早くして!」「もう行くよ!」と強めの声かけになってしまいますよね。ですが私の場合、この“急かす言葉”は逆効果でした。言えば言うほど子どものイヤイヤスイッチが入り、余計に時間がかかるという悪循環に。
そこで思い切って 急かす声かけを“ゼロ”にすること を決意しました。
その代わりに取り入れたのが、実況中継のようなナレーション声かけ。これは心理学でも「状況の見える化」が子どもの安心感につながり、行動を促しやすいといわれる方法です。
例えば……
- 「お洋服が着られる時間になってきたね〜」
- 「靴さん、履いてほしくて待ってるみたいだよ」
- 「今、お部屋がちょっと静かになってきたね」
このような実況風の声かけは、子どもにプレッシャーを与えず、自然に“次に何をするか”を理解させる効果があります。
また、着替えや支度が特に苦手な日には、以下のようなサポートも取り入れました。
- 服の選択肢は“2つだけ”に絞る
- 「自分でやりたい?」と事前に確認する
- “やりたくない日”は無理に押しつけず補助に切り替える
このように 選択肢を与えることで自己決定感を満たしつつ、イヤイヤの爆発を防ぐ ことができるようになりました。
やめたこと③:朝に全部やろうとすること
最大の変化をもたらしたのは、実は家事の見直しでした。
子どもにとって朝という時間帯は、
- 眠気が残っている
- 気持ちがまだ整っていない
- 一日の切り替えがうまくできない
という、とてもデリケートな状態です。そこに大人の「家事も早く終わらせたい」という都合が重なると、子どもの負担が増えてさらに動けなくなってしまいます。
そこで私は “朝に全部やる”という思考を手放しました。
朝にやめた家事リスト
- 食器洗い → 午前中にまとめてやる
- 掃除機 → 午後に回してOK
- 洗濯物を畳む → 夜に回す
- 完璧なメイク → 時短セットで十分
これだけで驚くほど心の余裕が生まれ、子どものイヤイヤに寄り添う時間を確保できるようになりました。
さらに、前日の夜にちょっとした準備をしておくだけで朝のバタバタは確実に減ります。
夜にやっておくとラクになること
- 次の日の服をセットしておく
- 朝食の食器だけ出しておく
- 出発準備(リュック・持ち物)を玄関に置く
これらの工夫は、朝に起こりがちな“地雷ポイント”を事前に取り除いてくれるので、圧倒的にスムーズに動けるようになりました。
まとめ|ママがラクになると子どももラクになる
イヤイヤ期は、ママやパパにとって本当に試練のような時期です。特に朝のバタバタは、体力だけでなくメンタルにも大きく響きますよね。「どうしてうまくいかないんだろう」「私の関わり方が悪いのかな」と自分を責めてしまう日もあるかもしれません。
でも、今回紹介したように、“やることを増やす”のではなく“やめることを決める” という視点を取り入れるだけで、朝の負担は大きく減らすことができます。
- スケジュールをゆるめる
- 急かす声かけをやめる
- 朝に全部やろうとしない
この3つを手放しただけでも、我が家の朝は驚くほどラクになり、子どもとの衝突も減りました。何より、私自身の心に余裕が戻ったことで、子どもも安心して行動できるようになったのを実感しています。
子どもは、大人が思っている以上に“親の心の状態”を敏感に感じ取っています。だからこそ、ママの心に少しでも余白が生まれると、子どもは自然と落ち着き、動けるようになる のです。
イヤイヤ期は永遠ではありません。いつか「あの頃は大変だったなぁ」と笑って話せる日が必ず来ます。だからこそ、今は少しでもママがラクになれる工夫を優先してあげてください。
しんどい日は、3つのうちどれか1つだけでもOK。無理なく取り入れて、あなたの朝が今より少しでもやさしい時間になりますように。


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