子どもに家事を手伝ってほしい。
でも実際は…
- 「今やりたくない!」と逃げ回る
- 手伝ってくれても逆に散らかる
- やる気が続かず、親がやったほうが早い
- 結局こちらがイライラして終わる
2児を育てながら在宅で働く私は、まさにこのパターンでした。
「ちょっとでいいから手伝って…」と思うのに、現実はそう簡単じゃないですよね。
でもあるとき気づきました。
子どもが家事を嫌がる原因は、“家事そのもの”ではなく“やらされている感”だった。
そこで私は“家事をやらせる”のをやめて、“家事に巻き込む”スタイルに切り替えました。
すると、驚くほど子どもが動いてくれるように。しかも、やりたい気持ちが続くようになったんです。
この記事では、そのゆる巻き込み術をまとめます。
子どもが家事を嫌がるのは“やらされている感”が原因
子どもが家事を嫌がる理由は単なる「面倒だから」だけではありません。実は、その背景には子ども特有の心理が深く関係しています。特に大きいのが、「自分で決めたい」という本能的な欲求です。これは成長の過程で自然に芽生えるもので、自分の意思を確認したい、人から指示されるより選びたい、という前向きな自立心の一部でもあります。
ところが、家庭内ではどうしても大人のペースで物事が進みがちです。「早くして」「片付けなさい」「これやって」など、忙しい親ほど命令形の言葉が増えてしまうもの。悪気はなくても、子どもには「コントロールされている」と感じられやすく、そこで強い抵抗が生まれます。
さらに、家事の多くは大人向けに最適化されているため、子どもには難しく感じられることもあります。
- 畳み方が複雑でわからない
- 片付けの基準が大人と違う
- 親のやり方に合わせないと注意される
こうした環境では、子どもは「どうせ怒られるし、やりたくない…」と感じ、家事=イヤなもの、ネガティブな体験として記憶されてしまいます。
しかし、これは子ども自身の性格ややる気の問題ではありません。ただ単に、家事が「大人基準で設計されているだけ」なのです。タスクの難易度や声かけの方法を子ども目線に調整するだけで、家事は驚くほど参加しやすくなります。つまり、子どもが本来持っている「やってみたい」「できることを増やしたい」という気持ちを引き出せるのです。
2児ママが実践する“ゆる巻き込み”の基本ルール
ここからは、実際に私が毎日の家事で取り入れている“ゆる巻き込み”の基本ルールを紹介します。忙しくても余裕がなくても、今日から取り入れられるほどシンプルで、しかも続けやすいのが特徴です。
巻き込み式の家事は、子どもに完璧を求める必要もありません。むしろ大事なのは、「参加できた」経験を積み重ねること。その積み重ねが、子どもの自主性や自信の土台になります。
そしてこのスタイルは、親にとってもメリットが大きいんです。家事の負担が分散されるだけでなく、子どもが自分から動くようになるため、イライラや「なんで手伝ってくれないの?」という不満が減ります。親子の雰囲気がゆるやかに整い、家事時間そのものが前向きなコミュニケーションに変わります。
以下では、巻き込み家事の中でも特に効果のあった3つの基本を、具体例とともに紹介していきます。どれも小さな工夫ですが、積み重なると驚くほど大きな変化になります。
家事を“遊びの延長”にする声かけ
子どもが家事に前向きになれるかどうかは、声かけひとつで大きく変わります。特に幼い子ほど「楽しそう!」という直感で行動が決まるため、家事を“遊びの延長”に見立てるだけで驚くほどスムーズに動き始めます。
大切なのは、家事をタスクではなくゲーム化・冒険化すること。大人からしてみれば些細な工夫でも、子どもにとってはわくわくする“お誘い”になります。
たとえば…
- 「どっちが速くタオル畳めるかな? よーいドン!」
- 「洗濯物を色ごとに分けるゲームしよ。赤チームと青チーム、どっちが多いかな?」
- 「お皿をパズルみたいにきれいに並べてみよう!」
- 「今日の“ごはん係さん”を決めよう! 誰がやってくれる?」
このように、家事=挑戦・遊びというイメージを持たせると、子どもは自然と体が動き始めます。特に競争やごっこ遊びの要素は効果抜群。兄弟がいる場合は「どっちが先にできるか対決」がとても盛り上がります。
また、遊び化のポイントは「結果よりプロセス」を楽しませること。スピード勝負と見せかけて、実際にはできた瞬間に「やったね!」「すごいじゃん!」としっかり褒めることで、達成感が何倍にもふくらみます。
選択肢を渡して“自分で決めた感”をつくる
子どもがやる気を出す最強スイッチは、「自分で決めた」という感覚です。これは心理学でも“自己決定感”として知られ、自分の意思で選んだ行動は継続しやすく、モチベーションが高まることが分かっています。
家事も同じで、「これやって」と言われると拒否したくなるのに、選択肢から選ぶ形にすると途端にスッと動けるようになります。
たとえば…
- 「タオル畳むのとテーブル拭くの、どっちがやりたい?」
- 「洗濯物を運ぶの手伝える? 階段から持ってく? それともリビング側からにする?」
- 「ごはんの味見とお皿並べるの、好きなほう選んでいいよ」
ポイントは、どちらを選んでも家事が前に進む選択肢にすること。親の理想とは違ってもOKです。大事なのは “子どもが自分で選んだ” という体験そのもの。
選択肢を提示すると、子どもが主体的に動いてくれるだけでなく、親もイライラせずに済みます。さらに、日常的にこのやり取りを続けると、子どもの中に「自分はできる」「選べる」という自信が積み重なっていきます。
シンプルな工夫ですが、効果は抜群。親子どちらにとってもストレスが少なく、自然に協力し合える環境が整います。
完璧を求めず“できたことだけ”を拾う
巻き込み家事で最も大切なのは、「結果ではなくプロセスを認めること」です。大人にとっては当たり前の家事も、子どもにとっては新しい挑戦の連続。「やってみよう」と行動するだけで、大きな一歩です。
しかし、忙しいとつい
- 畳み方が違う
- 配置がずれている
- 時間がかかる
といった“気になる部分”が目に入り、口を挟みたくなってしまいます。これは親の自然な反応ですが、子どもにとっては「どうせ怒られる」「できてもダメ出しされる」というネガティブな経験になりがちです。
そこで意識したいのが、「できている部分だけを見る姿勢」です。
たとえば…
- タオルが曲がっていても → 最後まで畳めたことを褒める
- 皿の位置が違っても → 自分で考えて並べたことを認める
- 床拭きが雑でも → 手を動かした行動そのものを評価する
私はよく、
- 「ありがとう!」
- 「助かったよ!」
- 「自分でできたね!」
の3つの言葉を意識的に使っています。
この“成功体験の積み重ね”が、子どもの自己効力感(自分はできるという感覚)を育てます。自己効力感が高い子ほど、新しいことにも前向きに挑戦するようになり、家事も自然と続けられるようになります。
完璧さを捨てると、親も子もぐっと楽になります。家事を通して「できた!」が増えると、親子のコミュニケーションも温かいものに変わっていきます。
年齢別にできる!今日から試せる家事巻き込みアイデア
ここでは、今日からすぐ試せる“巻き込み家事”を年齢別に紹介します。子どもの発達段階に合わせたタスクを選ぶことで、無理なく成功体験を積み重ねることができます。年齢によってできることは違いますが、どの段階でも共通して大切なのは、「達成しやすいタスクから始めること」です。
巻き込み家事は、ただ家事を手伝わせるだけではなく、子どもの成長にもつながります。手を動かす体験は身体の発達に、簡単な役割は責任感に、成功体験は自己肯定感につながるなど、家庭の中で多くの力が育まれます。
以下では、未就学児と小学生、それぞれの特性に合わせたタスク例を詳しく紹介します。家庭の状況に合わせて、できそうなものからぜひ取り入れてみてください。
未就学児向け(簡単タスク中心)
未就学児は「手を動かすのが楽しい」時期。家事というより、“作業そのものを楽しむ”ことができるため、まずは単純で成功しやすいタスクからスタートするのがポイントです。
たとえば…
- タオルを丸めてかごへ入れる(ただのボール遊び感覚でOK)
- 洗濯物の靴下をペアにする(パズル感覚で集中力UP)
- 食卓にスプーンやフォークを置く(役割を持つ喜びが芽生える)
- シールを貼るようにラベル貼りをする(指先のトレーニングにも)
- お米をカップで計る(「すくう・入れる」が楽しい)
- 軽いゴミをゴミ箱へ入れる(気持ちよく達成しやすい)
大切なのは、必ず成功するレベルのタスクにすること。少し手伝ってあげればできる、あるいは迷わずできる、そんな簡単な作業で十分です。
「できた!」がたくさん積み重なると、子どもはもっとやりたくなります。この段階では、家事の上達よりも「楽しい」「やりたい」という気持ちを育てることが一番の目的です。
小学生向け(責任感を育てるタスク)
小学生になると、ぐっとできることが増え、親のサポートがあれば立派な“家事メンバー”として活躍するようになります。この時期に効果的なのが、“係”として任せるスタイル。子どもは役割を与えられると誇らしい気持ちになり、責任感も育ちやすくなります。
具体例としては…
- 夕食の盛り付け担当(好きな配置でOK)
- 玄関の靴をそろえる係(家の“入口”を整える達成感)
- 洗濯物の仕分け係(ルールを理解する力が育つ)
- 自分の学用品チェック(セルフマネジメント力がUP)
- パパの水筒の用意(家族のために働く喜びが生まれる)
- ゴミ出し前の袋しばり(手先の器用さも鍛えられる)
さらに、時々でいいので、
- 「今日の◯◯係、すごく助かったよ」
- 「あなたのおかげで早く終わった〜!」
と伝えると、子どもの自信は一気に育ちます。
小学生期は、家事を通して「自分は家族に必要な存在だ」と実感しやすい時期でもあります。その実感が、家庭内での役割意識や自立心につながり、家事への参加が自然に習慣化していきます。
巻き込み式に変えたら子どもの“自主性”が育った実体験
巻き込み式を始めてしばらく経った頃、我が家では想像以上の変化が起き始めました。それは「家事を手伝ってくれるようになった」という表面的な変化ではなく、子どもの内側が確実に成長していると感じられるような深い変化でした。
以前は…
- 「やりたくない!」と逃げる
- 無理に手伝わせて険悪な雰囲気になる
- 結局私が全部やり直すことになる
- そのうちイライラして自己嫌悪にもなる
という負のループが日常茶飯事でした。
しかし、巻き込み式にしてからは、驚くほど空気が変わりました。
たとえばある日、私が洗濯物を抱えて階段を下りようとしたとき、長男がふいに言いました。
「ママ、それ重いでしょ? おれ運ぶよ!」
以前なら絶対に出てこなかった自発的な一言で、私は思わず胸が熱くなりました。
また、夕食の準備では兄弟で役割分担が自然に生まれるように。
- 「ぼくはお皿並べるね!」
- 「じゃあ私はスプーン置く!」
と、まるで小さなチームのように協力し合って動く姿も増えました。
家事がスムーズに進むだけでなく、兄弟間のコミュニケーションも柔らかくなり、喧嘩が減ったのも思わぬ効果。役割を持つことで、「どうすればうまくできるかな?」と考える力が育ち、家事の中に成長の瞬間がたくさん生まれているのを感じました。
そして何よりうれしかったのは、子どもの自己効力感(できた!の感覚)が目に見えて育ったことです。
- 初めてできたときの得意げな表情
- 「見て! できたよ!」と報告してくれる姿
- 失敗しても「もう一回やる」と前向きになれたこと
家事の時間が、ただの作業ではなく、親子の成長を共有する温かい時間へと変わっていきました。
まとめ|家事は“手伝わせる”より“参加したくなる”が続く
巻き込み家事の本質は、シンプルに言えば、「家事をやらせる」から「やりたくなる状態をつくる」へのシフトです。
多くの親がつまずくのは、子どもに“やらせよう”とする気持ちが前面に出てしまうこと。しかし子どもが本当に動き出すのは、押しつけられたときではなく、自分で選び、楽しみ、成功できたときです。
今日からできることは、ほんの少しの工夫だけ。
- 声かけを遊びに変える
→ 家事が「楽しい活動」に変わり、自然と取り組める - 選択肢を渡して“自分で決めた感”をつくる
→ 自主性が刺激され、やる気がアップ - 完璧を求めず、小さな行動を認める
→ できた喜びが積み重なり、自信が育つ - 年齢に合わせて成功しやすいタスクを選ぶ
→ 「できる!」という感覚が継続しやすい
巻き込み式は、家事の時間をただの“作業”から、親子にとって心地よい“成長の場”に変えてくれます。
家事はママがすべて抱え込む必要はありません。少し声かけを変えるだけで、子どもは驚くほど動き始めます。
そして“できた!”が増えれば増えるほど、子どもはどんどん自主的に動くようになり、家族みんなの毎日が軽く、温かくなります。
巻き込み家事は、今日からすぐに始められる小さな工夫。その小さな一歩が、親にとっても子どもにとっても、大きな前進になります。

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