片付けって、本当は数分で終わるはずなのに、取りかかるまでに気力を使う家事ですよね。
私は2児を育てながら在宅で働いていますが、仕事・育児・家事でバタバタしていると、どうしても片付けが後回しになってしまい、
- 気づいたらリビングが大荒れ
- 片付けを始める時には大仕事になっている
- どこから手をつければいいかわからない
- 結局そのまま寝てしまう日も…
そんな自分にモヤモヤしつつも、「毎日完璧に片付けるなんてムリ!」と気づきました。
そこで実践し始めたのが、“片付けない片付け”という考え方。
これは、部屋を完璧にきれいにするのではなく、散らかりすぎない“基準ライン”に戻すだけの片付けのこと。
この考え方にしてから、片付けのストレスが一気に減りました。
この記事では、忙しい日でも無理なくできる「片付けない片付け」のコツを紹介します。
片付けがつらいのは“完了形”を求めすぎているから
片付けが苦しいと感じてしまう理由の多くは、「片付け=すべてをきれいにしきるもの」という思い込みにあります。特に家事・育児・仕事を同時進行しているママは、一度片付けを始めると“完了形”にしなければ気が済まない、という状態に陥りがちです。しかし、この思い込みこそが片付けのハードルを大きく引き上げています。
片付けが苦手な人の多くは、「やるなら完璧にしたい」という気持ちが強い傾向があります。例えば次のようなこと、思い当たりませんか?
- 仕分けも全部やらないと気が済まない
- 収納の配置まで考え始めてしまう
- 一気に片付けようとして疲れる
- “終わり”を自分で決められない
実際、片付けが苦手だと感じる人ほど、仕分け・収納・導線の改善など、片付けと整理整頓と模様替えをすべて同時にやろうとしがちです。「やるからには完璧に」という意識が働くため、取り組む前から気力を消耗してしまい、結果として先延ばしにつながります。
でも、ママの生活って、子どもが動いた瞬間に散らかるのがデフォルト。子育て中の家では、子どもが遊ぶ・動く・食べるといった日常の行動だけで部屋はすぐに変化します。つまり、片付けても短時間で“元通り”になるのは自然なこと。
にもかかわらず“完璧な状態の維持”を自分に課してしまうと、片付けが永遠に終わらないタスクのように感じられ、ストレスが増してしまいます。完璧を求めるのは、そもそも無理があるんですよね。
そこで大事なのは、「完璧」を前提にせず、完璧じゃなくても“戻すだけで整う状態”を日常的なゴールに設定することです。片付けを「終わらせるもの」ではなく「整えるもの」と考え方を変えるだけで、負担は大きく減ります。これが“片付けない片付け”のスタートラインです。
在宅ママが実践する“片付けない片付け”の考え方
“片付けない片付け”とは、決して「片付けを放棄する」という意味ではありません。むしろ、限られた時間と気力の中で、暮らしを無理なく整えるための“新しい片付けの基準”をつくる考え方です。
在宅で仕事をしていると、家にいる時間が長いぶん、散らかりやすさも倍増します。仕事をしている最中に子どもが遊び始めたり、家事の途中で急に別のタスクが発生したりと、生活リズムが予測できないことも日常茶飯事です。そんな環境で「毎日完璧に片付ける」のは現実的ではありません。
そこで役に立つのが、“片付けない片付け”の発想。これは、部屋が散らかってもすぐにリセットできる“仕組み”をつくり、片付けをできるだけ省エネ化する方法です。
この方法のポイントは、次の3つです。
- 基準ラインをゆるく設定する:最低限ここだけ整っていればOKというラインを決める。
- 動作数を減らす収納をつくる:置くだけ・入れるだけの仕組みをつくり、迷わず戻せる環境を整える。
- 散らかる場所に先回りする:よく散らかるエリアに専用の受け皿を用意し、散らかる前提で対策する。
これらを取り入れると、片付けへの心理的負担が大幅に軽減され、「また散らかった…」という落ち込みもなくなります。暮らしの流れに合わせて片付けを調整できるため、自然と部屋が整いやすくなるのです。
家の“基準ライン”をゆるく決める
家の基準ラインとは、「最低限この状態ならストレスなく暮らせる」というラインを明確にしたものです。完璧な片付けを目指すのではなく、“ここまで戻せば十分”という地点を設定することで、片付けは驚くほどラクになります。
基準ラインを設定するメリットは3つあります。
- 片付けのゴールが毎回同じになるため、迷わず取りかかれる。
- やることが最小限に絞られるため、短時間でリセットできる。
- 気持ちが軽くなるため、片付けの先延ばしが減る。
例えば、リビングなら「床に大きいものが落ちていない」「ソファに座れるスペースがある」など、本当に最低限でOK。キッチンなら「シンクが完全に空でなくても、食器が半分以下ならよし」など、個人や家庭に合った“ゆるい基準”をつくることがポイントです。
この基準ラインは、忙しい日のリセットだけでなく、家族にも共有しやすいのが大きな利点。パパや子どもにも「ここまでできればOKだよ」と伝えられるため、家全体で維持しやすくなります。
“置くだけで片付く”仕組みを作る
「しまう」のが面倒だから散らかる。なので私は、置くだけで片付けが完了する仕組みをつくりました。
片付けが面倒な最大の理由は、“戻すまでの動作が多い”ことにあります。棚を開ける・仕分ける・しまう…といった工程が複雑だと、疲れている日はその気力が出ません。そこで効果的なのが、置くだけで片付けが完了する仕組みをつくることです。
例えば、こんな工夫ができます。
- リビングに“なんでも箱”を1つ置き、バッグや書類、おもちゃなどをとりあえず入れる。
- 子どものおもちゃは“ざっくり棚”に投げ入れるだけのスタイルにする。
- 書類はジャンル分けせず、“立てるだけBOX”に入れるだけにする。
- 洗濯物は“畳む前カゴ”で一時管理し、床に置かないようにする。
特に意識したいのは、動作数を1つにすること。
- 取る → 入れる
- 置く → 終わり
これくらいシンプルだと、子どももパパも協力しやすくなります。小さな積み重ねですが、これが結果的に“散らからない家”を作る大きな仕組みになるのです。
散らかる場所を“先に片付く形”にしておく
散らかる場所って、いつも同じ場所じゃないですか?テーブル横、ソファ周り、子どもの勉強スペース、キッチン前など、行動が集まるポイントは自然と物も溜まりがちです。
ここに対して「散らかるのが悪い」のではなく、「散らかるのが前提」と考えて仕組みをつくっておくことが、片付けない片付けの大きな味方になります。
例えば、次のような工夫ができます。
- ソファ横にブランケット用のミニかごを置き、脱ぎっぱなしを防ぐ。
- テーブル横に子どもの学用品カゴを置き、宿題後はそこに入れるだけにする。
- キッチン前に“紙類BOX”を置き、プリントや郵便物の一時置き場にする。
特にキッチン前は紙類が溜まりやすい場所です。学校のプリント、郵便物、レシート、メモなど、気づけば山になりがち。そこで「紙類BOX」を1つ置いておくと、それだけで視界がスッキリします。分類は後でOK。とにかく“放り込める場所”を用意しておくだけで負担が大幅に下がります。
大切なのは、散らかりをゼロにすることではなく、散らかってもすぐに整う導線をつくること。この仕組みがあるだけで、片付けのストレスが劇的に軽くなります。
忙しい日にこそ効く!片付けない片付けの具体テク
忙しい日ほど片付けのハードルは上がります。夕方は子どもの対応、翌日の準備、家事のラストスパートなど、とにかく“時間も気力も残っていない”のが現実。そんなときに役立つのが、短時間でリセットできる片付けない片付けのテクニックです。
ここでは、特に即効性があり、在宅ママの生活でも毎日活躍してくれる方法だけを厳選して紹介します。どれも「完璧を目指さず、戻しやすい仕組みをつくる」という片付けない片付けの理念に基づいているため、取り入れやすく、効果もわかりやすいのが特徴です。
「種類別ではなく行動別に収納する」「カゴを持ち歩くように使う」「子どもが迷わないざっくり収納」など、どれも難しい工程は必要ありません。むしろ、“考える工程を減らす”ことに重点を置いているため、片付けが苦手な人でも自然とできる方法です。
種類別ではなく“行動別”に収納する
多くの家庭で主流になっているのは「種類別収納」ですが、実はこれが片付けの手を止める原因になります。例えば、ハサミは文房具の場所、のりは工作セットの場所、子どもの教材は学用品の棚…と“種類”で考えるほど、戻す場所が複雑化してしまうのです。
しかし、片付けの本質は“迷わず戻せる仕組みを作ること”。そこで効果を発揮するのが、行動別収納です。
例えば…
- 「工作セット」としてハサミ・のり・折り紙などをひとまとめにして一箱に入れる。
- 「おでかけセット」として帽子、日焼け止め、虫除けをまとめて玄関近くに配置する。
- 「リビングで使う文房具」として、リビング専用のケースを作る。
この方法にすると、必要なときに探しやすく、使ったあとも“とりあえず元の箱に戻すだけ”で片付けが完了します。種類別収納のように「これはこっち?それとも別の棚?」と迷う必要がないため、行動がスムーズに流れます。
最も重要なのは、片付けやすい仕組み=探さなくていい仕組みという点です。行動別収納は生活導線にフィットするため、家族みんなが使いやすく、結果的に散らかりにくい環境が作られます。
片付けを“持ち歩く”ためのカゴ運用術
カゴは片付けの最強ツールです。カゴが1つあるだけで、“片付けの一時避難場所”にも“整理の補助ツール”にも変身し、家中の片付け効率が一気に上がります。
特におすすめなのが、持ち歩けるカゴを片付けの味方にする方法。
具体的には、次のような流れです。
- リビングで散らかったものをカゴにひとまとめにする。
- そのカゴを持って家の中を移動し、各場所で“置くだけ”で戻す。
この流れをつくると、家全体を一気に整えることができ、片付け時間も大幅に短縮されます。
さらに、場所別に専用カゴを用意するとより便利です。
- リビングカゴ:おもちゃ・書類・リモコンなどをとりあえず入れる。
- 玄関カゴ:外遊びセットやマスク、子どもの小物を管理。
- キッチン前カゴ:紙類・雑貨の一時置き場に。
特に夕方の時間帯は体力も集中力も落ちてくるため、「ついそのまま置いてしまう」ことが増えがちです。そんなときも、カゴが1つあれば片付けのハードルが一気に下がり、「とりあえず入れる → あとで戻す」が感覚的にできるようになります。
カゴは片付けの“動線を短くする魔法の道具”。どの家庭にも導入しやすく、費用も少なく済むのに効果は抜群です。
子どもが自分で戻せる“ざっくり収納”
子どもが片付けない理由は、複雑な収納が理解できないから。大人が作った収納が細かすぎると、子どもには理解も管理も難しく、結果として出しっぱなしになってしまいます。
そこで取り入れたいのが、ざっくり収納です。これは、分類を細かくせず、大枠で考える収納方法のこと。
例えば…
- 同じ種類をざっくり入れる箱を作る。
- 色別の大まかな箱に分けるだけにする。
- おままごとセットは“全部まとめて1箱”にする。
- パズルはピースも箱もまとめて“パズル箱”に全部入れる。
ポイントは、子どもが迷わず戻せること。収納がシンプルだと、子どもは自然と“戻す習慣”を身につけやすくなります。大人から見て多少ざっくりでも、子どもが自分で戻せる仕組みのほうが、結果として散らかりにくい環境が保てます。
また、子ども自身が片付けに参加できることで、ママの負担も軽減。家の中が整いやすくなるだけでなく、“自分でできた!”という子どもの自信にもつながります。
片付けのハードルが下がり暮らしが整った実体験
“片付けない片付け”を取り入れてしばらく経った頃、私は自分自身でも驚くほど生活がラクになっていることに気づきました。それまでの私は、部屋を見るたびにため息が出て、寝る前にどっと押し寄せる「片付けなきゃ…」というプレッシャーに常に追われていました。
でも、基準ラインを決め、置くだけ収納を整え、散らかる前提の仕組みを作ってからは状況が一変。部屋が多少散らかっても、「基準ラインまで戻せばOK」という明確なゴールがあるため、気持ちがとてもラクになりました。
以前は…
- 散らかった部屋を見て気持ちが沈む。
- 夜にまとめて片付けて疲れ切る。
- どこから手をつければいいかわからず、手をつけるまでに時間がかかる。
という悪循環ばかり。特に夜、子どもが寝た後に残った家事を一気に片付けるのは、精神的にも体力的にもとても負担でした。
ところが今は…
- 散らかってもすぐ基準ラインに戻せる
- ひとつの動作で片付けが終わる仕組みがある
- 子ども自身が片付けに参加しやすくなった
- 完璧を求めないことで心の余裕が生まれた
というふうに、暮らし全体にゆとりが生まれました。
特に大きな変化だったのは、片付けに対する心理的負担がほぼゼロになったこと。「片付けないとダメな人」という自己否定感が薄れ、「散らかっても戻せばいい」という柔らかい思考が習慣として定着したことは、私の暮らしにとってとても大きな意味がありました。
部屋が“なんとなく整っている”状態が続くようになったことで、日常のストレスも減り、心にもゆとりができ、家族との時間もより楽しめるようになったのです。
まとめ|片付けは“やり切るより、やり過ぎない”ほうが続く
片付けは、やればやるほど達成感があるように思えますが、実は“やり切ろうとするほどしんどくなる家事”でもあります。特にママは、時間も気力も有限。だからこそ、片付けは頑張りすぎず、無理なく続けられる形に工夫することが大切です。
この記事で紹介したポイントを整理すると、片付けがラクになるコツは次の4つに集約されます。
- 完璧を目指さない — 片付けを“終わらせるもの”ではなく“整えるもの”として捉える。
- 基準ラインだけ整える — 最小限のリセットポイントを設定することで、迷わず片付けが進む。
- 置くだけ収納で戻しやすくする — 動作数を減らし、家族全員が片付けやすい仕組みをつくる。
- 散らかる場所に先回りして仕組みを置く — 散らかりやすいエリアに受け皿を用意し、ストレスを減らす。
“やり切る片付け”ではなく“やり過ぎない片付け”を選ぶこと。完璧を目指さないからこそ続けられ、それが最終的に暮らし全体の整いにつながります。
あなたの毎日が、片付けに追われる日々から少しでも軽くなり、「なんとなく整って心地いい」状態に近づきますように。疲れた日でもできる片付けこそ、長く続き、そしてあなたを助けてくれる習慣になります。


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